ADHDの歴史2 - 薬物研究の飛躍
ADHDという言葉が用いられる前は、微小脳損傷(通称MBD)という呼び方を一番多く使っていました。
これは、あくまで注意力の欠陥や多動が、脳損傷によるところが大きいとする見方が強かったからです。
19世紀に、サルの実験で、前頭葉のないサルが、攻撃的で落ち着きがなく、一つのことが長続きしない、
という結果が得られていました。
そのことを人に当てはめて、人も何かしらの脳損傷があったことにより、注意力などの障害が出るように
なったのだとされました。
しかし、人間の前頭葉の研究を重ねても、これらの推測の根拠となる部分を見つけられなかったようです。
とりあえず使われていた名称MBDは、いつしか死語になりました。
しかし、薬物の分野では非常に大きな臨床結果が得られました。
1930年代に、アンフェタミン(合成覚せい剤の一種)がADHD症状を持つ子供たちの集中力を劇的に
高めるということがわかったのです。
アンフェタミンに代表される薬物は、人の中枢神経に働きかけ、興奮作用を促進します。
つまりADHD傾向の人には、中枢神経興奮作用のある薬物が効果を発揮する、ということです。
それ以後、現在に至るまで、その認識には一定の評価があり、中枢神経興奮作用を有する薬物は、
ADHD治療の最も一般的な薬剤として使用されています。
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